話題になるコンテンツを生み出すための、「3つの縁(血縁、地縁、知縁)」フレームワーク

「バズる」は縁による話題の消費結果である
松浦シゲキ 2024.06.28
読者限定

コミュニケーションプランナーの松浦シゲキです。

インターネット以前は、「血縁」(=家庭内)で話されるか、「地縁」(=たとえば学校や職場などリアルな場)だけでしたが、「知縁」も加わりました。

「知縁」は造語ですが、インターネット上では、「受け手」の趣向や知識に応じて、特定の話題、どんなニッチな話題でも繋がれるようになりました。そこでも同様に井戸端会議が繰り広げられるのです。

「受け手」の間で繰り広げられる興味関心のコミュニケーション量が多ければ多いほど、「伝え手」が産み出す、広告に必要な面積が広がります。だからこそ「受け手」は「作り手」が作り出す、興味関心のネタを欲しがるのです。

今回はこのソーシャルコミュニケーションにおける「3つの縁(血縁、地縁、知縁)」という考えかたを使って、話題になるコンテンツを効率よく生み出す方法について詳しく解説したいと思います。

「3つの縁(血縁、地縁、知縁)」の定義

「血縁」や「地縁」は辞書に載っている言葉ですが、「知縁」は造語なので、あらためて3つの「縁」について私なりの解釈も追加して定義してみます。

  • 血縁: 血縁は、家族や親戚などの血のつながりに基づく人間関係を表します。ここには相互支援性、連帯感が強い疑似家族のような人間関係も含むこととします。

  • 地縁: 地縁は、同じ地域に住む人々が持つ縁を表します。地域によっては地域共同体や自治会などがあります。地域に根ざした人々同士が協力し、支え合うことで縁がうまれています。また、学校や職場などの組織もこの縁によるものとします。

  • 知縁: 知縁は、趣味の同好会など、共通の知識や趣味などに基づく人間関係を表します。

血縁、地縁については、ある程度認識が揃っている話かと思います。解釈を追加するとすれば、血縁は家族・親族だけでなく、事実婚なども含めた新しい家族の形も含むこととします。血のつながりが必須ではありません。共同生活もその一つと考えられるでしょう。

地縁については同じ土地に住むということもそうですが、同級生や同僚など、学校や職場などの同じ場所で長い時間を過ごす人間関係も含まれます。最近で実際に移住した人のみをカウントする定住人口でなく、いる場所を問わず地域や地域の人々と広く関わる人を指す「関係人口」という言い方がありますが、これも「地縁」に基づく考えかたとも言えるでしょう。

最後に知縁ですが、これは造語ではありますが、概念自体は別に新しいものではありません。古くから趣味の集まりはありました。同人誌の祭典、コミックマーケットは最たる知縁の一つです。

知縁が血縁、地縁と違うところでいうと、インターネット以前は繋がりにくかったことが挙げられます。血縁、地縁は、それを結ぶ人が基本的に毎日のように物理的に会っていた/会っていることが前提ですが、知縁を持つ人たちは、物理的に会う機会をなかなか持てなかったのです。

私で言えば、クイズという趣味を持つ90年代札幌在住の高校生でしたが、関東や関西で行われているクイズとはどのようなものかほぼ知る術もなく、そこにいる人と繋がるきっかけもなかったのです。

しかし今や、ソーシャルネットワーキングサービスなどを通じて、世代も場所もなにもかも飛び越えて繋がることができます。これが従前との大きな違いです。

「バズる」は縁による話題の消費結果である

©MagicalFactory LLC

©MagicalFactory LLC

さて、ソーシャルコミュニケーションにおける話題とは、どのようなものでしょうか。私からすると、従来の4マスは全てこのソーシャルコミュニケーション用の話題作りを行ってきたようにも思えます。

話題を提供するから、それが血縁や地縁の井戸端会議で伝播し、面白いから話題の提供元に興味が行く。面白くなければ呼ばれなくなる=見られなくなる、読まれなくなる。少し横にそれますが、従来の4マスが話題の提供元として存在感が薄れてきているのは、作り手が作り出すコンテンツの質という問題もなくもないですが、基本的にはインターネットという、より気軽に消費できる大きな意味での伝え手が登場したからです。

このような話題の伝播と消費のプロセスは、現代においても本質的には変わっていません。ただし、インターネットとソーシャルメディアの普及により、その規模と速度が劇的に拡大しました。「バズる」という現象は、まさにこの話題の伝播が爆発的に広がった結果と言えるでしょう。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、6785文字あります。
  • 血縁で話題として伝播する要素
  • 地縁で話題として伝播する要素
  • 知縁で話題として伝播する要素
  • 縁には「強い縁」と「弱い縁」がある
  • 話題の見つけ方
  • まとめ:縁によるつながりがソーシャルネットワーク

すでに登録された方はこちら

誰でも
情報は"受け手"のものへ ー 兵庫県知事選に見る メディアコミュニケー...
読者限定
自分自身をメディア化する - コミュニケーションプランナーが考えるキャ...
読者限定
本当に「エモい記事いりますか」 メディアコミュニケーションとビジネスの...
読者限定
主語が大きいだけが問題ではない 〜多様性時代の効果的なソーシャルコミュ...
読者限定
サードパーティークッキー廃止方針撤回とその未来
読者限定
サーチコミュニケーションの未来:AI時代における進化とマネタイズ戦略
読者限定
大衆の気持ちをハックするシステムに未来はない
読者限定
広告は本当に悪者なのか? - コミュニケーションの観点から見直す広告の...